WOMBS 感想

WOMBS 1 (IKKI COMIX)
白井弓子
2010.2

ジャケ買いしました。
地球ではない星で、戦争をしている軍で特別任務をもつ女兵士の話、というのでなんとなく気になって、、、。表紙の雰囲気も硬派で安定感があったし、ちょっと古い絵柄なので大きな外れはないんじゃないかなって思って。長く描いている人はやっぱり物語がいいことが多い。設定もSFというか、まあファンタジーよりなんですが突飛で読んでみようって思っちゃったんだよね～。（この作家さんが長く古くから描いてらっしゃる方なのかは知らないんですが）

裏表紙より一部抜粋～
碧王星。移民間で戦争が続く中、新兵が特別転送隊に配属される。
妊娠しているメスだけが「飛べる」現地生物、その体組織を自らの子宮に移植し、転送能力を身につける女だけの特殊部隊、、、、

今回ネタバレ含まないでは感想かけないので、知りたくないって場合は読まないようにしてね。

引きは十分。

何もわからない新兵目線で様々な謎が解かれ、またこの作品の世界構成が紐解かれてゆく面白さ。
期待は裏切られず、たしかにそういう内容なんですけど、、、薄っぺらーいんだよね、、、。
設定だけでもうお腹いっぱいって感じもしたんだけど、描く側もそんな感じじゃないのかなっていう気もする。
正直、ここまで不快感が強いとは思わなかったなあ。
妊婦という装置を用いて戦争をさせるっていうからには、精神論的な面白さ、ドラマがもっとあると期待したんですが、１巻ということもあってか世界説明と特殊能力の根拠の表面を追うので精一杯というところで次巻へ続く、でした。雑誌連載で読んでると面白いだろうなと思ったけど、コミックスで読んだ感じでは２巻はもういいやって思いました。
軍隊描写もフルメタル・ジャケット（1987年英映画）を描き起こしただけだし、舞台となる地球ではない星もスターシップトゥルーパーズ（1997年米映画）まんまっていうか、、荒涼ではないけど、人間にとっての未開拓地であらわれる敵とされる何か（漫画ではまだ明確に描かれていない）も甲虫系の造形をしているし。
上にあげた作品を直接参考にされたかどうかはわからないけれど、これではどこかで見た話、という程度になってしまう。フルメタルジャケットはまあガチだろうなあ。
設定としては、女性の子宮に超生命体的な何かを入れて妊娠させると、まあ、テレポートできるという設定で、それで大量の兵士を戦場に送ったり、迎えにいったり、物資を届けたり、と。
まだ１巻なので仕方ないけど、その生命体を子宮に入れて、この超能力に気づいたっていう経緯は描かれていなくて、たぶんそれは物語の核心なんだと思う。
思うんだけど、生理的に受け付けられない設定を、ガチガチの理論で納得させてもらってからじゃないとさすがに嫌悪感に負けて読めないよ、、、、。なんつうか、ぶっちゃけ、どうやって最初にそれ、現上層部は気づいたの、、、、って思うし、その辺、なんかなあ。
作風から言って、似たような動物か植物かの習性からヒントを得ているんじゃないかなあって感じはする。そんな動物は知らないけど（自分の子供をほかの生物の子宮に産み付けるような？魚なんかでは似たような習性はあるかな）こうやって書いてたら、ショートストーリー向きの設定だなって思った。

ひどいことばっかり言ってしまってますが、他に感想があまりない、、、、。
映画を参考にしててもいいんだけど、漫画に深みをもたせる、リアリティを出す、には至っていないので残念なんだよね。デザインがありきたり、なのは絵柄が古い時点で前提なので気にしないんだけど、せっかく地球ではない星での生活なのに、兵士の訓練がベトナム戦争時代と同じっていうのは、ひねりがないんじゃないのかなって思うんだよね。時系列も世界も違うんだけど、でも我々が居る世界よりは科学が発達しているように描かれているので。射撃訓練の的が板ってことはないんじゃないの？
（的がヒトガタぽいけど人って断定できない雰囲気にはしてあるので、敵の形状はまだわからない。）

期待をもって買っただけに残念。
そもそも表紙を見たときに旧日本軍的な精神論の理不尽な状況でSFファンタジー戦争が繰り広げられていて、その戦況を左右するのが妊娠した女、つまり母性、っていう展開を想像していたので、、、、すみませんすみません。
こんな型通りの西洋式近代軍隊だとは思わなかったんだよう。