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蝶々の纏足 感想 [本]


蝶々の纏足・風葬の教室
山田 詠美
文庫: 215ページ
出版社: 新潮社 (1997/02)

お風呂に入りながら、「蝶々の纏足」を読んだ。何度か読んでいるのにいつも初めて読む気分になるのは、たぶん単語の一つ一つを楽しむ小説だから。展開で楽しむ本ではないです。
短編でちょうど一編が読めた頃にのぼせ上がる。
とても観念的で、美しい文章、ねっとりと重い心の動き、灰汁の少ない会話が非常に心地良い内容です。それでいて感動が用意されている。
女子学生に読んで欲しい本です。こういうふうに、すべての行動には理由があるのだ、という生き方を学んで欲しい。実際、そんなわけはないのを大人は知っているけど、思い込みと倒錯的な理念を何ももたないでは生きていられない、そういう空気を知ってほしい。
それで何を思うかは、あなたの自由だしね。

女性的な小説として振りきれいているのがいっそ気持ちいいので、大好きな作家です。ハードカバーの長編は正直、当たりと外れがある気はするけど、、、(当然すべて読むに値する素晴らしい著書だとは思っていますが、単に好みの部分で、です)そういうほど、作品を網羅して読んできたわけではないですけどね。エッセイなんか気分が如実に読み取れて、つまりつまんない気分のときの文章はやっぱりつまんない、っていう感じはしますね。そういう嘘をつかない作家だと思いますが。

ここ数年、村上春樹氏が何度目かのブームで、たぶんこの方の「乾いた小説」というのが受けるのは人の心は簡単じゃないのだよ、隙間みたいなものができたり埋められたりするんだよっていうビジュアル的に表現されるテーマが<分り易く届く>からなのではないかな、と思うのだけど。こちらも作品を追って読んできたわけではないので、なんとも、偉そうなことが言えないんですが、、、いや、何をか言おうと思って読み始めるんだけど、手が進まないんだよう。全然、読んでて吸い込まれないので、1冊読むのが大変で。そんな大変な思いをしてまで読むなら、他の面白そうな本を手にとっちゃうよね。

今回、別に比較しようと思ったわけではないです。

「蝶々の纏足」について話を戻します。
人の心の簡単ではない部分、それも悪いものほどいい匂いがする、そういうものに惹かれるのは本能だし、理由があれば自分で手に入れなくては、だめだ。というテーマをいつも感じます。
からっぽで生きていたって、つまらないよ、という。
すごく攻撃的なんですよね。能動的。そういうのには憧れるし、きっとそういう作品を書く作家に対しても憧れているんだろうと思う。直接的な内容になるので一応、ここから畳んでおきます。
ネタバレとかも気になる人は読まないでくださいね。

幼なじみからの呪縛を「振り切る」ために、男の体を知ることを手段にした主人公。それも本当の、恋愛。男と、女の、恋愛。ガキの遊びじゃないやつ。それは成功したし、何にも代えがたい幸福を知る。

非常に観念的で、現実にこんな風な高校生いないよ、と思うし、いて欲しいな、いたらいいな、とも思う。
きっと表面だけ捉えれば、いるんだろうと思う。
誰よりも先に男を知って、大人になるっていう経験は人生において武器にはなるだろう。
かといって、それをやってほしいとは、大人であるわたしは言えないなあ。
性的な体験は何歳頃が望ましいなんて別にないと思いはするけれども、まあ妊娠することを思うとね、おすすめはできないじゃん。相手の心までは自分の思い通りにできないわけだし。なんていうか、男は逃げることが簡単にできるし、自分の欲望のためにはその場限りのとてもうまい嘘を言うから(それは女も同じだけど)。
ついでにいうと、晩婚化している現状、ちょっとでも遅いほうがいいと思う。
結婚して、さて、と思っても飽きてたら悲劇だよ。
下世話で関係のない話になってしまいました。

終わらない恋なんてないんだよ。


タグ:山田詠美
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